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飼料事業では、森林から発生する未利用資源を独自の蒸煮加圧技術で加工し、高品質な牛用飼料を製造しています。牛の健康に寄与する飼料を生産者の皆様に安定供給し、一次産業に貢献しています。また、適切な飼料管理を通じて牛の腸内環境を整え、メタンガス排出の削減に寄与することを目指し、研究機関とともに地球の未来に貢献する事業に取り組んでいます。
蒸煮木質飼料は、国内の工場で生産される粗飼料であり、木材チップを高温高圧の水蒸気により蒸煮加工します。2014年(平成26年)に開発が始まり、公的研究機関や大学、行政機関、民間企業に地元企業、そして肉牛の生産者の協力を得て、2020年に製造プラントが設置・開設されました。 従来の粗飼料と比較して、天候や流通状況の影響が少なく、安定した品質と価格での供給が可能になります。木材中のヘミセルロースが蒸気によって加水分解され、酢酸やオリゴ糖など、牛の健康に有益な成分へと変化します。
また、牛が好むキャラメルのような甘い香りと酸味が特徴で、嗜好性の高い粗飼料になっています。 ホルスタインを中心とした給与試験では、血液成分の複数の項目において有意差が確認されており、ルーメン(牛の第一胃)内および糞便内の短鎖脂肪酸濃度の上昇も観察されています。これは木質粗飼料が消化管内の微生物発酵を促進し、肥育牛の代謝に変化をもたらしている可能性を示唆しており、牛の健康状態がよくなったと畜産業の現場からも高い評価をいただいています。
北海道と東北で年間約3,000t、肉牛農家と酪農家100軒以上にご利用いただいております。
北海道と東北で年間約3,000t肉牛農家と酪農家100軒以上にご利用いただいております。
通常の飼料に比べて繊維が多く含まれています。そのため、少量でも繊維量を補うことができ、配合飼料の摂取を妨げず、経済的にも優れています。
低カリウムの粗飼料として与えることができるため、カリウムが豊富な牧草と組み合わせることで、分娩後の疾病を軽減できる可能性があります。
蒸煮木質飼料と併用することで、品質にばらつきのある粗飼料の食べ残しを減らしたり、濃厚飼料の摂取を促進することで、体重増加が期待できます。
木質由来のオリゴ糖(キシロオリゴ糖)が含まれており、消化管内細菌叢が正常に保たれ、有害菌の発生が抑制されます。その結果、濃厚飼料多給による問題が軽減され、飼料の消化吸収が改善されます。さらに、牛の消化管の機能が正常化され、摂取量の増加により健康状態の向上と体重増加が期待できます。
粗飼料の中でも特に硬く、牛の反芻回数を増やし、ルーメンに良好な物理的刺激を与えます。これにより、消化管の発達が促進され、軟便や下痢を抑制し、健康な状態を維持し、体重増加が期待できます。
地域の林産資源を原料としているため、国際情勢や天候の影響を受けずに、輸入飼料や牧草のような変動に左右されることなく、通年安定した供給が可能な飼料です。
柴山畜産は1972年に父が始め、1984年に2代目として事業を引き継ぎました。蒸煮木質飼料を導入したのは2020年2月ごろからです。はじめは木の繊維がうまく消化されるのか不安がありましたが、蒸煮処理によって木質飼料の繊維消化率が高まっていて、他の粗飼料と比べても繊維の消化率が高いことがわかりました。その影響で内臓廃棄も減少して、牛の毛並みや健康状態も向上しました。薬代も減って、トータルのコストも削減されています。国産飼料という安全性も重要ですし、利活用できる木材原料が多く存在する中で、牛が食べて消化可能な繊維質に変えられるというのも大きい。デンプン質の高い餌は美味しい肉に仕上がる一方で牛への負担がありますが、蒸煮木質飼料はその負担を抑えることもできるので、今後の畜産業界を良い方向へ発展させるものになるのではと思っています。
シラカンバなどの木材を牛が食べやすい大きさに粉砕します。
家庭用圧力鍋の10倍以上の耐圧の容器により高温、高圧(160〜200℃)の水蒸気で蒸します。
非常に高い嗜好性と適度な消化性を持った粗飼料ができます。
公的研究機関、国立大学等と製法や牛に対する作用の研究を多数実施しています。主要な研究成果を紹介します。
研究成果.01
甘酸っぱい高嗜好性の製造条件の追求
木材を蒸煮処理すると単糖(甘味)と有機酸(酸味)が生成します。蒸煮する温度や時間を変えたときの含有量を測定しながら様々な牛に試食してもらい、嗜好性が高まる蒸煮条件で製造しています。
道総研・重点研究2020-2022
( 出典:檜山ら. 2024. 日本木材学会大会 )
研究成果.02
黒毛和種肥育牛への給与実証
北海道北見市の牧場の黒毛和種肥育牛の発酵バガスを蒸煮木質飼料で置き換え、その前後50頭ずつの枝肉の重量と肉質を比較しました。肉質が同等以上で枝肉重量が約20kg増加しました。
道総研・重点研究2017-2019
( 出典:檜山ら. 2022. 日本畜産学会報 )
研究成果.03
乾乳牛への給与実証
北海道根釧地域の3牧場の乾乳牛のTMRに2kg/頭/日のキャトルエースを混合して給与しました。半年以上、のべ362頭に蒸煮木質飼料(シラカンバ)またはカラマツ蒸煮飼料を給与し、給与前と比べて摂取量不足の減少傾向や過肥が減少するケースを示しました。
( 出典:檜山ら. 2023. 日本畜産学会大会 )
研究成果.04
ルーメンアシドーシス主因菌の生育阻害
牛の生産性に大きな影響を及ぼすルーメンアシドーシス。その主要な原因菌であるストレプトコッカス属細菌の生育を、シラカンバの樹皮の白さの主成分(ベツリン)が阻害することがわかってきました。現在は試験管レベルで検証中(右図)ですが、阻害するメカニズムや牛生体に対する作用も調べていく予定です。
JST A-STEP
( 出典:安達ら. 2022. 日本畜産学会大会 )
研究成果.05
ルーメン由来メタンの抑制可能性
世界の温室効果ガスの4~5%は反芻家畜消化管由来(牛などのげっぷ)のメタンとされています。 現在は試験管レベルでの検証中(右図)ですが、慣行粗飼料を蒸煮木質飼料に置換したときにメタンが19%減少しました。 メタン生成を抑制するメカニズムや、メタンが減少する代わりに牛のエネルギーになっているのか等の関連研究をさらに進める予定です。
地域の木でつくる牛の飼料の事業化の珍しい取組みや特別な性質を明らかにした研究に関して賞をいただいています。
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